定年後のお金の不安を「故障診断」してみた

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定年後のお金のことを考えると、なんとなく胸のあたりが重くなる。
でも、何がどれくらい不安なのかと聞かれると、うまく答えられない。
もしあなたが今そんな状態なら、先に結論をお伝えします。
その不安は「漠然としている」のではなく、まだ原因が特定されていないだけです。
どうも、たにやんです。
僕は会社員時代、大型プリンターの保守エンジニアとして、お客さまのオフィスや工場で故障を直す仕事をしてきました。24時間保守の3交替勤務を約10年。その後は管理職になり、部長まで務めて、定年後は再雇用で働きながら自分の法人を経営しています。
今日は、その保守の現場で身につけた「故障診断」の手順を使って、定年後のお金の不安を分解してみます。
定年後のお金の不安は「故障報告」として一番直せない書き方になっている
保守の現場には、いろんな故障の連絡が入ってきます。
その中で、いちばん困る連絡が何か分かりますか。
「なんか、調子が悪いんです」
これです。
「なんとなく調子が悪い」では、プロでも直せない
どこが、いつから、どんなふうに調子が悪いのか。
それが分からないと、エンジニアは手の打ちようがありません。全部の部品を交換するわけにもいかないからです。
定年後のお金の不安も、これとまったく同じ構造をしています。
「老後が不安」「お金が足りなくなりそう」という言葉は、故障報告でいえば「なんか調子が悪い」と同じなんです。
だから、本を読んでもセミナーに行っても、不安が消えない。原因が分からないまま、いろんな部品を手当たり次第に交換しようとしているからです。
深夜の障害対応で最初にやっていたこと
金融系のお客さまの基幹システムが深夜に止まったとき、現場は時間との勝負になります。
焦って手を動かしたくなる場面ですが、ベテランほど最初に手を止めて、こう確認していました。
「何が起きているか」「いつ、どんな条件で起きるか」「どこまで影響が出ているか」
この3つが揃って、はじめて原因の当たりがつけられる。急いでいるときほど、最初の切り分けが修理全体のスピードを決めるんです。
実際にあったお話
深夜2時ごろ。
訪問修理で、ある銀行の電算システム室に入りました。
止まっているプリンターの前に着くと、いきなり「何時ごろなおる?」
聞いてきた方は、システムマネージャーでした。
めちゃくちゃ焦って聞いてこられたシーンを、昨日のことのように覚えています。
そのとき僕は、すぐには時間を答えませんでした。
まず「何が起きているか」「いつから止まっているか」「どの業務に影響が出ているか」を確認させてください、とお願いしました。
そして、「原因の当たりがついたら、改めて修復見込み時間をご報告します」と答えたのです。
不安を「症状」として書き出してみる
お金の不安も、まず症状として書き出してみてください。
たとえば、こんなふうに。
「再雇用になったら、給料が下がる」
「60代後半以降、何で暮らしていくのか見えていない」
「年金がいくらもらえるのか、ちゃんと知らない」
書き出してみると、ひとかたまりだった不安が、実はいくつかの別々の症状だったことに気づくはずです。
お金の不安を3つのユニットに切り分ける
プリンターの故障診断では、症状が出たら「どのユニットの問題か」を切り分けます。給紙なのか、印字なのか、制御なのか。
定年後のお金の不安も、大きく3つのユニットに分けて考えると見通しがよくなります。
収入ユニット:お金はどこから入ってくるのか
1つ目は、お金が入ってくる側です。
会社員のあなたの収入は、ほとんどの場合、勤め先からの給料が1本だけ。定年や再雇用は、この1本の流れが細くなるタイミングです。
「定年後にどこから、いくら入ってくるのか」を書き出せていない人は、収入ユニットに不安の原因があります。
支出ユニット:お金はどこへ出ていくのか
2つ目は、お金が出ていく側です。
住宅ローン、子どもの教育費、毎月の生活費、親のこと。
出ていく額が見えていないと、入ってくる額がいくらあっても安心できません。ここが原因なら、まずやるべきは稼ぐことより「見える化」です。
制度ユニット:仕組みを知らないこと自体が不安を生む
3つ目は、年金・退職金・税金・会社の制度といった「仕組み」です。
僕が見てきた会社員の多くは、自分の給料から何がどれだけ引かれているのか、定年後にどんな制度が使えるのかを、ほとんど知らないまま働いています。僕自身もそうでした。
仕組みが分からないものは、怖い。これは機械も、お金も同じです。
根本原因は「収入の配線が1本しかない」こと
3つのユニットを順番に見ていくと、多くの会社員に共通する根本原因が浮かび上がってきます。
それは、人生の収入が「会社」という1本の配線だけで動いていることです。
部長になっても、配線は1本のままだった
正直に言います。
僕は、出世すればお金の不安は消えると思っていました。
でも部長になっても、不安は消えませんでした。給料は上がっても、その給料が「会社という1本の配線」から流れてくることは何も変わっていなかったからです。
定年が近づくにつれて、その配線がいつか細くなることも分かっていました。
基幹システムなら、必ず冗長化する
保守の世界では、止まってはいけないシステムほど「冗長化」します。
電源も、回線も、2系統用意しておく。片方が止まっても、もう片方で動き続けられるようにするためです。
1か所が壊れたら全体が止まる場所のことを「単一障害点」と呼びます。設計の段階で、真っ先に潰しておくべき弱点です。
ところが僕たち会社員の人生は、収入の配線が会社1本。金融機関の基幹システムなら絶対に許されない設計のまま、何十年も走り続けているわけです。
節約や投資は「部品交換」、本当に必要なのは「設計変更」
不安になると、多くの人は節約を頑張ったり、投資の勉強を始めたりします。
もちろん、どれも大事です。でもそれは、故障診断でいえば「部品交換」にあたる対処です。
配線が1本しかないという設計そのものが変わらない限り、不安の根っこは残り続けます。
僕がたどり着いた答えは、会社という1本目の配線を残したまま、自分で2本目の配線を引くことでした。具体的には、定年前に自分の法人を作り、会社員の仕事と並行して自分の事業を走らせる「二階建て経営」です。
直し方は「暫定対処」と「恒久対策」に分ける
ここで、ひとつ注意してほしいことがあります。
原因が分かったからといって、いきなり全部を直そうとしないことです。
暫定対処:今日からできる「止血」
深夜の障害対応では、まず暫定対処でシステムを動かし、根本的な修理は改めて計画します。
お金の不安も同じで、最初にやるのは「止血」です。
支出ユニットが原因なら、毎月出ていくお金を1か月分だけ書き出す。制度ユニットが原因なら、自分の給与明細と、ねんきん定期便を1回じっくり読んでみる。
これだけでも、不安の大きさは目に見えて小さくなります。
恒久対策:2本目の配線を、定年前に引いておく
恒久対策は、収入ユニットの設計変更、つまり2本目の配線を引くことです。
ここで大事なのは「定年前に」という点です。会社員という1本目の配線がしっかり動いているうちのほうが、2本目を引くための選択肢は圧倒的に多い。
僕自身、会社員のうちに法人を設立し、政策金融機関から創業融資を受けることができました。定年後に同じことをやろうとしていたら、まったく違う結果になっていたはずです。
人に聞くより、自分で試して確かめる
保守エンジニア時代、僕がいちばん信用していたのは、マニュアルよりも自分の手で確かめた結果でした。
お金のことも同じです。人の成功談をいくら集めても、あなたの家計とあなたの会社員人生に合うかどうかは、自分で試してみるまで分かりません。
だからこそ、いきなり大きく動く必要はありません。小さく試して、確かめて、直していけばいいんです。
おわりに:今日、あなたの「故障報告書」を3行で書いてみる
最後に、今日できることをひとつだけ。
あなたのお金の不安を、次の3行で書いてみてください。
①症状:何が不安なのか(例:定年後の収入が見えない)
②発生条件:いつ、どんなときに不安になるか(例:再雇用の話題が出たとき)
③影響範囲:放っておくと何に影響するか(例:60代後半からの生活費)
この3行が書けた時点で、あなたの不安は「なんとなく調子が悪い」から、「原因を調べられる故障」に変わっています。
不安は、調べて、試して、仕組みにすると小さくなる。
これは、故障を直し続けてきた僕が、自分のお金で確かめたことです。
2本目の配線をどう設計するか。法人×個人の「二階建て経営」の考え方は、14日間のメールマガジンで順を追ってお届けしています。本気で定年前に手を打ちたい方だけ、どうぞ。
僕が定年前に法人を作り、創業融資を獲得するまでの実体験は、こちらのnote記事に全部書いています。
『法人を作りたい』と思ったあなたへ。たにやんが実体験を全部書いた。
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