定年後は「再雇用」か「起業」か?両方を選んだ元部長が気づいた、二択で考えてはいけない理由

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定年が見えてくると、多くの人がこの二択で悩みます。
「再雇用で、今の会社に残るか」
「思い切って、自分で起業するか」
どうも、たにやんです。
僕はこの二択に、どちらか一方では答えませんでした。答えは「両方」です。
定年前に自分の法人を作り、定年後は再雇用で会社に残りながら、その法人を経営してきました。
前々回の記事では、定年後のお金の不安の正体が「収入の配線が会社1本しかないこと」だとお話ししました。前回は、その2本目の配線をどう引いたかを書きました。
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今日は、定年後の再雇用と起業を、元部長であり、今は法人の代表でもある僕の目で比べてみます。
定年後の再雇用、まず知っておきたい3つの仕組み
再雇用か起業かを考える前に、まず再雇用の仕組みを押さえておきましょう。ここを知らないまま選ぶと、あとで「こんなはずじゃなかった」となりやすいからです。
65歳までは、希望すれば働ける時代になった
2025年4月から、会社は希望する人全員を65歳まで雇う仕組みを用意しなければならなくなりました。
それまでは、労使協定で再雇用の対象者を絞れる経過措置がありましたが、これが終わったんです。
つまり、今の40〜50代の会社員なら、望めば65歳まで今の会社で働き続けられる可能性が高い、ということです。
ただし「同じ給料で」とは、どこにも書いていない
ここが大事なところです。
会社に求められているのは、65歳まで「雇う」ことです。定年前と同じ給料、同じ立場で雇うことまでは求められていません。
再雇用後の給料や役割は、会社の制度しだい。定年前より大きく下がるケースも、決して珍しくありません。
僕自身、再雇用になって、給料はガクッと下がりました。
給料が下がった人を支える給付も、縮小している
再雇用で給料が下がった人には、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」という給付があります。60歳時点と比べて給料が75%未満に下がった場合に、下がった分の一部を補ってくれる制度です。
ところがこの給付も、60歳になる日が2025年4月1日以降の人は、上限が給料の15%から10%に縮小されました。
働ける期間は延びた。でも、給料とそれを支える給付は、むしろ薄くなっている。これが今の再雇用の実態です。
再雇用のメリット・デメリット:会社に残るのは損なのか
では、再雇用は損なのでしょうか。僕はそうは思いません。ただ、メリットとデメリットをはっきり分けて見ておく必要があります。
メリット:収入と社会保険が、途切れずに続く
再雇用の一番のメリットは、毎月の給料と社会保険が途切れないことです。
慣れた職場で、慣れた仕事を続けられる安心感もあります。定年の翌日からいきなり収入ゼロになる、という事態は避けられます。
デメリット:給料も立場も、ガラッと変わる
一方で、給料は下がり、立場も変わります。
昨日まで部下だった人が上司になる。任される仕事が変わる。僕も部長から再雇用になって、その変化を肌で感じました。
お金だけでなく、気持ちの面でも切り替えが必要になります。
いちばん大きな落とし穴:配線は1本のまま
そして、見落とされがちな一番の問題がこれです。
再雇用は、会社という1本目の配線を「延長」しているだけだということ。
配線は細くなったまま、相変わらず1本です。しかも、その延長コードには65歳前後という終わりがあります。
再雇用を選んでも、定年後のお金の不安の根本原因、つまり「収入の配線が1本しかない」という設計は、何も変わらないんです。
定年後に起業するメリット・デメリット:自由の代わりに失うもの
では、起業はどうでしょうか。
メリット:期限がなく、自分の腕で稼げる
自分の事業には、定年がありません。
何歳まで続けるか、どこまで広げるかを、自分で決められます。会社の評価ではなく、自分の腕と判断で結果を出せる。これは、再雇用にはない大きな魅力です。
デメリット:収入が不安定で、信用はゼロから
その代わり、収入は不安定になります。最初の売上が立つまで、時間がかかることもあります。
そしてもうひとつ。会社を辞めた瞬間、銀行や公庫から見た「会社員」という信用がなくなります。
僕は会社員の肩書きがあるうちに法人を作りましたが、それでも大手銀行では口座開設を門前払いされました。肩書きがなくなってからなら、なおさらです。
定年「後」に始めると、なぜ不利になるのか
定年後の起業が不利になりやすい理由は、もうひとつあります。融資です。
創業融資は、売上の実績が出てから申し込むと、その実績、つまり毎月の売上の3か月分くらいが上限になりやすい傾向があります。
定年後に会社員という信用を失い、小さな売上の実績を持って窓口に行けば、借りられる額はどうしても小さくなります。
起業そのものが悪いのではありません。起業の「タイミング」が、結果を大きく左右するんです。
僕が「再雇用」と「自分の法人」を両方選んだ理由
ここまで比べてみると、再雇用にも起業にも、それぞれ弱点があることが分かります。
だから僕は、どちらか一方を選ぶのをやめました。
再雇用は「1本目の配線」、法人は「2本目の配線」
考え方はシンプルです。
再雇用で、1本目の配線である会社の給料と社会保険をつないでおく。そのうえで、自分の法人という2本目の配線を、別に引いておく。
保守の世界でいう「冗長化」です。止まってはいけないシステムほど、電源も回線も2系統にしておきます。人生の収入も同じだと考えました。
2本目は、1本目が太いうちに引いた
大事なのは順番です。
僕は定年前、まだ会社員としての信用が一番厚いうちに法人を作り、創業融資を受けました。9月の定年を迎えたときには、融資はすべて終わっていました。
そのうえで、定年後は再雇用を選びました。先に2本目を引いてから、1本目を延長したわけです。
もし順番が逆で、定年後に再雇用の給料だけを頼りに起業しようとしていたら、まったく違う結果になっていたと思います。
2本あると、再雇用の給料が下がっても怖くない
再雇用で給料がガクッと下がったときも、僕は思ったほど慌てませんでした。
配線が2本あると、1本が細くなっても、全体は止まらない。心の余裕がまったく違います。
そして、いつか再雇用という1本目の配線が終わっても、法人という2本目は残ります。今、僕の法人は7期目に入っています。
おわりに:二択で迷ったら「期限」と「条件」を確かめる
定年後は再雇用か、起業か。
この問いに迷っているなら、まず二択で考えるのをやめてみてください。「再雇用で1本目を延ばしながら、2本目を引く」という選択肢があります。
そのうえで、今日できることを2つだけ。
①自分の会社の再雇用の条件を確かめる
就業規則や再雇用の規程を読む、または人事に聞いてみてください。再雇用後の給料、雇用期間、仕事の内容。ここが分かるだけで、1本目の配線があとどれくらい、どの太さで続くのかが見えてきます。
②自分の「期限」を書き出す
定年の月、役職定年の月、再雇用に切り替わる月。2本目の配線を引くなら、1本目が太いうちに。その「いつまでに」を決めることが、最初の一歩です。
再雇用と自分の法人をどう組み合わせるか。法人×個人の「二階建て経営」の考え方は、14日間のメールマガジンで順を追ってお届けしています。定年前に本気で手を打ちたい方だけ、どうぞ。
定年前に法人を作り、創業融資を受けるまでの実体験は、こちらのnote記事に全部書いています。
『法人を作りたい』と思ったあなたへ。たにやんが実体験を全部書いた。
※本記事の制度の内容は2026年10月時点の情報です。ご自身の再雇用の条件や給付の対象かどうかは、勤務先やハローワークでご確認ください。
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